「LIVE and SURVIVE(ライヴ & サヴァイヴ)」プロジェクト 〜 続報②

 

自然災害や非常時に必要な機能と性能を兼ね備えたバッグや周辺アイテムを開発する「LIVE and SURVIVE(ライヴ & サヴァイヴ)」プロジェクト。今回はその続報第2弾です。

 

「LIVE and SURVIVE(ライヴ & サヴァイヴ)」プロジェクトでアポイントの取れた大阪の会社と商談にするために、僕は大阪環状線の大正駅に降り立った。梅雨明け宣言したばかりで刺さるような日光を浴びながら、アポイントの取れた会社へ早歩きで向かった。

アポイントの取れた会社のエントランスに到着した僕は、少々緊張しながらでアルミ製の引き戸を左に引いた。

中に入ると受付のカウンターがあり、その奥の事務所を見渡すと自分の席をもたないフリーアドレスっぽい作りになっていてかなり今っぽいオフィス環境だ。受付で対応してくれた女性から、受付表とコロナの感染症対策「健康チェックシート」の記入を求められ、さらに検温をした後、すぐ近くのチェアーで待つように促された。

外からみたその会社の建物は、2階建ての小さめの体育館のような作りで、建物のわりにエントランスのドアが小さく、しかもそのドアは観音開きのガラスドアではなく、中の見えないアルミ製の引き戸のサッシだった。

外見とは随分違うかなり今っぽい内装に感心しながら、営業担当の方が来るのをしばらく待った。少しすると奥から電話で話しをした営業担当だろうと思われる男性がやってきた。「初めまして」と、ひとまず受付でお互い名を名乗り軽く挨拶したあと、2.5階にある商談室へ通された。

商談室までの通路の両側は事務所になっていて、デスクもベンツのエンブレムのスリーポインテッド・スターのような配置になっていたり、アイランドのデスクもあったりで、何だか前に行ったアメリカLAの友だちのオフィスみたいだ。商談室は階段を登った奥にあって、エアコンが強めに効いた商談室に入室してから改めて名刺交換をした。

僕と電話やその後のメールでやりとりしたのは、高階救命器具株式会社さんの営業部課長の井関さんだ。

今回僕は「LIVE and SURVIVE(ライヴ & サヴァイヴ)」プロジェクトで具現化しようとしているアイテムの一部に救命胴衣を装着しようと考えた。その救命胴衣を検索中にヒットしたのがこの高階救命器具株式会社さんだった。

 僕は席についてからまず、「LIVE and SURVIVE(ライヴ & サヴァイヴ)」プロジェクトを再度説明しようと早速商談に入ろうとすると、営業担当の井関さんは「今日のこの商談は弊社の社長も同席するので、少しお待ちいただけますか?」と言った。

事前に高階救命器具株式会社さんのホームページで社長さんの画像はちらっと見ていて、おそらく社長さんは僕と同世代くらいの方かなと推測してたんだけど、今回の初めての商談にその社長さんが同席するとは事前に聞いていなかったんで想定外の展開でちょっと戸惑った。でも商談に社長さんが同席となると話が一気に前に進む可能性もあるので、期待を込めて社長さんがくるのを待った。

ほどなくして高階救命器具株式会社さんの社長・高階さん(以下:高階さん)が商談室に入って来た。早速名刺交換をして再び席についた。コロナ禍では基本マスクをしたままでの名刺交換なのでお互い表情が見えないから、お互い笑顔で名を名乗っても、笑っているのかそうでないのかがわからなくて本当に不便だ。

梅雨が明けた途端の酷暑の感想などのお天気話しをしてから商談は始まった。冒頭僕がまず「LIVE and SURVIVE(ライヴ & サヴァイヴ)」プロジェクトに理解を示していただき商談の時間をいただいたことに感謝の意を述べると、高階さんから驚くべき答えが返って来た。

「僕はKATSUYUKIKODAMAのバックパックを所有しているんですよ!」

その発言を聞いて僕は椅子から転げ落ちそうになった。そんな偶然があるものなのか!?2014年にKATSUYUKIKODAMAの国内リリースがスタートしてから6年が経過しているので、多くの方が僕たちのユーザーになっていただいてはいるけど、「LIVE and SURVIVE(ライヴ & サヴァイヴ)」プロジェクトで最初のアポイントをいただいた会社の社長さんがKATSUYUKIKODAMAのユーザーだなんて、こんな偶然ってあるのか!?

「ありがとうございます。どちらで購入されたんですか?」と聞いてみると、「前に心斎橋大丸の1Fでイベントをやっていて、その時に買いました。ネオプレン素材のバックパックです。今は期間イベントではなく上の階で常設のショップになりましたよね?」との返答。高階さん、なかなかお詳しい!商談のしょっぱなにこの会話だ。まさに掴みはOK!上々の滑り出しだ。

僕は「LIVE and SURVIVE(ライヴ & サヴァイヴ)」プロジェクトがスタートした経緯や、開発しようと考えているアイテムに救命胴衣が必要といった内容を一通り丁寧に説明していった。商談室には何点かの救命胴衣のサンプルがあって、商品梱包された状態で商談机に置かれているものや、空気のパンパンに入った救命胴衣がボディに装着されていた。

 この時点での僕のプランは 、救命胴衣は専門である高階救命器具さんに製作をお願いして、防水バッグ部分はウェルダー溶着の出来る他の会社を探して依頼するつもりでいた。だから高階救命器具さんに向かう途中も他の会社にアポイントの電話を入れていた。(前回ブログ参照)

そもそも救命胴衣というものがどんな作りになっているかすら僕は知らないので、商談の途中に僕の後ろに飾られているボディに装着されている救命胴衣を手にとって見てみた。すると僕はまたまた椅子から転げ落ちそうになった!

高密度のナイロン製の救命胴衣は、なななな何と、ウェルダー溶着で成形されているではないか!!!しかも10mmくらいの溶接幅で溶着されたウェルダー溶着の仕上がりがこの上なく美しかった。

「救命胴衣は糸での縫製ではないんですね」と僕が質問すると、高階さんは「そうです。糸だと空気が漏れるので、高周波誘電加熱による溶接で成形します」との回答。「実はちょっと調べてきたんですけど、その溶接を”ウェルダー溶着”っていうんですよね?」と僕が続けると高階さんは「空気が入って膨らむところを気室と呼ぶんですけど、気室はウェルダー溶着で完全密封し24時間以上の浮力を作り出します」と教えてくれた。

さらに「救命胴衣の気室と身体に装着するためのショルダーテープとの接合は縫製で行なう」ことも説明してくれた。つまり高階さんの工場ではウェルダー溶着と縫製の両方が出来るのだ。

先述のとおり、僕は救命胴衣は専門である高階救命器具さんに製作をお願いして、防水バッグ部分はウェルダー溶着の出来る他の会社を探して依頼するつもりでいた。でもそもそも高階さんの会社でウェルダー溶着と縫製の両方が出来るのであれば話が早い!

商談の速度はそこから一気に加速した。

〜つづく

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