新たな世代
ECの着用モデルに " flagbearer(フラッグべアラー)" のメンバーを起用した。
flagbearerは、ヴォーカルのAkiとドラマーのTommyの2ピースバンド。結成は2019年秋で、約1年におよぶ制作期間を経て、 9月6日に1stシングルの"Hello"がリリースされたばかりだ。
Akiは23歳、Tommyは19歳という若い2人とECの着用モデルの撮影の合間や、撮影終了後の打ち上げの時に色んな話しをしてみると、音楽制作における時代の進化をビシバシ感じてため息の連続だった。
まず、曲作りやリハーサル、デモ、レコーディングのやり方が昔とはあまりにも違うことに驚かされた。曲は全てオンラインでのやりとりが基本だそうで、Akiの作ったデモにTommyが自宅の電子ドラムで音入れをし、サポートメンバーのギタリストやベーシストも同様に自宅で録音しオーバーダビングをしていく。
みんなで集まってセッションしたり、合宿ををしながら曲を作り上げていった昔とはエラい違いだ。コロナもあってスタジオに集まることもなかなか出来なかったってこともあるけれど、コロナがなくてもデモは各自の自宅録音(宅録)が基本らしい。
驚いたのは、ギターやベースにおいては、自宅でPCを使って録音を行なう「ライン録り」と、スタジオでギターアンプの前にマイクを置いて録音する「マイク録り」とは、録音のレベルがほとんど変わらなくなってきていることだ。わざわざスタジオに出向くことなくレコーディングが完結することが可能ならしい。まさにリモートで作業ができるのだ。
ただ、ヴォーカルやドラムはそうはいかず、レコーディングはやっぱりスタジオで録音するのが基本だとのこと。ヴォーカルのAkiは自宅で大きな声で歌うのは流石に限界があるので、デモの最終はスタジオで録音し、一方ドラムのTommyは、デモまでは自宅の電子ドラムで録音したそうだ。
デモが熟したころにスタジオで何回かセッションを重ね、1stシングルの"Hello"のレコーディングとミックスダウンは8月のはじめに都内某所で1日かけて行われたらしい。僕は、"Hello"を最初に聴いたとき隙のない音の厚さに驚かされて、本当にレコーディングが1日で終わったなんて信じられなかった。
こんな音の厚みを出すには昔ならレコーディング・スタジオに入り込んでドラム、リード&バッキングギター、ベース、ボーカル、コーラスなど各パートを録音したあと、キーボードや効果音、パーカッションなどを追加するのに確実に数日は必要だったハズだ。
でも今は昔と違う。レコーディング当日は実際にメンバーのプレイするパートの録音だけに時間を費やし、それらのパートの音源と事前にAkiが自宅で構築したシンセサイザーや効果音、リズムパーカッションなどの同期音源を、スタジオでミックスするという何とも現代らしいメソットでレコーディングが行われたという。しかもこれを若干23歳と19歳になったばかりの若者たちの手によってコンプリートさせているなんて、本当に信じられない。
9月6日にiTunesで有料配信された"Hello"は、10月1日よりapple ミュージックなどの各種サブスクでも聴くことができるので、このブログの読者のみなさんにも是非聴いていただきたい!デビューシングルとは到底思えない完成度の高さに本当に驚かされること間違いなしだ。
さらに"Hello"は、9月21日午前0時よりYouTubeでMVが公開になった。このMVは8月後半に関東某所で収録された。撮影チームは新進気鋭のGRAFICA Film(grafica-film.com)で、監督・撮影・編集を担当したのは代表の野上虎太郎さんで、彼も20代前半という鬼才だ。
"Hello"の持つ透明感と、奥行きかつ分厚い音響、さらに各パートが時折見せる鋭いエッジを非常に的確に映像で表現していて、デビューシングルのMVでこのクオリティまで持っていけるのは本当に驚きだ。これは楽曲同様にAkiのこだわりとプロ意識によるもので、まったくスキのない完璧な映像作品に仕上げられている。
このMVはYouTubeでたった2週間で1万回プレビューを達成した。メンバーと周辺のスタッフの高いクリエイション力の成果がこのように数字で示されたんだけど、無名の新人としては異例の数字であるのことは間違いない。
将来flagbearerは、『2020年初秋に突如姿を現したモンスター』と呼ばれるようになるだろうと僕は勝手に予測している。曲のそのものの完成度や艶があって色っぽさも感じるMV、そして先述のとおり曲・MVそのものにまったくスキのない完璧なバンドとして登場してきたことから考察すると、新人ながらモンスターという名が最もふさわしいバンドだと思う。遠い昔の80年代後半、Guns'n Rosesが彗星のごとく現れた時の驚愕の度合いとよく似ているなぁ、なんて思ったりもしている。
このMVの衣装協力はKATSUYUKIKODAMAとコラボレーションしているONEMADE。ヴォーカルのAkiはONEMADEの大ファンでONEMADEのデザイナーのMIKIOさんに直談判でお願いして衣装の全面協力を得た。MVではメンバーの2人に加えサポートメンバーやダンサーもONEMADEで身を包みイメージを完全に統一させたのは、flagbearerというバンドのブランディングをさらに昇華させる要因となった。
音楽の世界は制作方法やプロモーションの方法が昔とは加速度的に変化していて、彼らと話をしていると僕らの活動するファッション業界ってなんて昔ながらのイモくさい業界なんだろうってため息の連続だった。僕たちのプロダクションがハイテクの変化することなんて今はなかなか考えられなくてトホホな状況だけど、コロナをきっかけにリモートみたいな働き方も出現してきてはいるんで、僕たちが率先してニューノーマルを創造・構築していかなきゃなって、彼らと仕事をしながら強く感じたよ。
ともあれ、前途ある若者たちと一緒に仕事をしていると本当に気持ちいいし、これから音楽の世界でこのflagbearerが是非成功の道を歩んで欲しいと心より願っている。まずは"Hello"と叫びながら誕生したflagbearerに乾杯だ。
flagbearer(フラッグべアラー)
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