LOS ANGELES 2019 〜 その3
LOS ANGELES(以下:LA)にいる僕の友だちの新しいパートナー(以下:J)をLAに着いた翌日に紹介された。Jは同じ世代で、会って早々80年代の音楽やカルチャーについて話がものすごい盛り上がった。
僕たちの青春時代の80年代、LAは本当に熱かった。数々のバンドがLAのハリウッド界隈で誕生・活動して、セックス・ドラッグ・パーティに明け暮れていた。実際にそうだったかはわからないけど、そんな姿を音楽雑誌で読んだりテレビで観て、LAに対する僕たちの羨望は、どんどん一人歩きして大きくなっていった。
しかもMTVで流れる音楽PVでは、多くの美女たちと日々遊びながらも、LIVEをやればアリーナクラスのキャパを簡単に埋め、溢れかえるオーディエンスの前でプレイをするメタル野郎たちの姿が映し出され、僕もそんなローックン・ロール・ライフを送りたい!と憧れ、そうなることを夢みて人生の目標にしていた。
Jに聞くと、僕らが見聞きしていたのと同じで、やっぱりLAでもハード・ロック/ヘヴィ・メタルシーンはものすごい盛り上がっていたらしい。ただ、僕の認識と違ってたとは、熱く燃え上がるそのシーンは、LAで自然発生したものではなく、ニューウェーヴとしてイギリスからきたものだったということだった。
Jからは、JUDAS PRISTやIRON MAIDEN、BLACK SABBATH/OZZY OSBOURNEら、イギリス出身で80年代初頭にアメリカで成功を収めたグループの名前が頻繁に出てくる。それだけじゃなくドイツからアメリカへ進出して成功したSCORPIONSや、オーストラリアからの成功者のAC/DCのことをJは熱く話してきた。
さらに70年代のブリテッシュバンドのDEEP PURPLEやLED ZEPPELINやROLLING STONESに至るまで、話に出てくる名は全部イギリスやヨーロッパなどアメリカ以外の出身のグループだった。
Jいわく、彼らがどんどんアメリカ本土にやってきてアリーナクラスを埋めるようになってシーンに火がつき始めたらしい。日本のメディアも当時ニュー・ウェーヴ・オブ・ブリテッシュ・ヘヴィ・メタル(NWOBHM)の台頭って騒いでいたけど、LAの本場にいるJはそれと同じことを話した。でもJは、ニュー・ウェーヴ・オブ・ブリテッシュ・ヘヴィ・メタル(NWOBHM)とは言わず、ニュー・ウェーヴがイギリスからやってきたって言っていた。
80年代初頭、NWOBHMのグループたちの活躍でそれをオーディエンスとして観たバンドマン達がこぞってバンドを立ち上げて、Wiskey A Go GoやROXY、COUNTRY CLUBのような小さなキャパのLAのクラブからシーンに躍り出てきたんだろう。たしかにRATTやMOTLEY CRUEのデビュー当時のPVを観ると、小さなクラブでのライヴのシーンがたくさん出てくる。
僕はこれまでLAメタルは完全にLAという場所から自然発生してたと思っていたから、Jからその話を聞いて本当に驚いた。その1で書いた「片田舎のLAでなぜハード・ロック/ヘヴィ・メタルのムーヴメントが起きたのか?」の謎は、「ニューウェーブがイギリスからやってきた」からが模範解答で、「LAで自然発生したのもの」ではない。Jとの出会いで簡単に解答を得ることができた。僕のなかでLAを少し神格化しすぎてたかな...笑
音楽の話をJとしていたら、「そういえば、今度の水曜にコリアンタウンのTHE WILTURNってホールで、DEEP PURPLEのライヴがあるけど行く?」って聞いていきた。DEEP PURPLEといえば、僕ら世代で知らない人はいないブリテッシュハードロック界のレジェンド。現在「The Long Goodbye」と銘打ったワールドツアー中で去年日本の東名阪でライヴを行った。
THE WILTURNというホールも老舗中の老舗で、2016年にはBABYMEYTALが USツアーでソールドアウトにした場所。
ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの本場LAで、もう観ることができないかもしれないDEEP PURPLEのライヴに誘われたるなんて、断る理由はない。僕は二つ返事で「もちろん行くよ!!!」って答えたっ。
その4につづく〜