「ONE OF A KIND」〜 後編
デザイナーの僕自身のルーツにスポットを当てた限定アイテムの製作を依頼された伊勢丹メンズの「ONE OF A KIND」企画。
僕のルーツをKATSUYUKIKODAMAのバッグに落とし込むのに僕の頭の中は覆っていたのは、MOTLEY CRUEの「SHOUT AT THE DEVIL(1983年)」や「THEATRE OF PAIN(1985年)」、RATTの「OUT OF THE CELLAR(1984年)」や「INVASION OF YOUR PRIVACY(1985年)」のメンバーの衝撃的な装いだった。
MOTLEY CRUEのヴィンス・ニールやニッキー・シックス、トミー・リー、RATTのスティーヴン・パーシーやロビン・クロスビーらは、髪をかき上げてスプレーで固め、顔はケバいメイク、メッシュのタンクトップをビリビリに破り、ピタピタのスパッツを履いて思いっきりセックスアピールをし、お色気ムンムンのいでたちで若い女子たちを魅了した。
70年代後半から台頭したJUDAS PRIESTやIRON MAIDENに代表されるUKムーブメント"ニュー・ウエーヴ・オブ・ブリテッシュ・ヘヴィ・メタル(NWOBHM)"の、革スキニーとスタッズベルト、鋲付きダブルライダースといった硬派な男のイメージとは真逆の、開放的でグラマラスでド派手なミュージシャンに若かりし日の僕はそれはそれは憧れた。しかも西海岸のLAに集ってライヴ・サーキットをしながら毎日パーティを繰り返し、ドラックにまみれグルーピーたちと戯れる。
溢れる才能を存分に発揮し、のちに歴史に残るだろう名曲と名アルバムを次々に発表、ライヴ会場のスケールも小さなクラブからホール・クラスへ、そしてアリーナ・クラスへと拡大し、莫大なアルバムセールスとライヴの興行収益を誇る。そんなロックン・ロール・ライフへの憧れが僕の青春時代の心に毎日毎日深く刻まれていた。やりたいことをやりまくり、人々を喜ばせ、思いっきり人生を謳歌するメタル野郎、それがまさに僕のルーツだ。
それをPACK1に落とし込むのに時間はかからなかった。フルレザーでメタルの剛健さを表現し、イタリアRAMPON社のスタッズを使用、PACK1の顔であるコクーン(繭)部分はLAメタルで多用されたメッシュで覆った。でも何かが足りない。もう一味インパクトがほしい。そこからが時間がかかった。
サンセット・ストリップのクラブ「WHISKY A GO-GO」の歴史ある派手な外壁や、隣接するバー&グリル「RAINBOW」のテラスにあるライヴ告知のビルボードの雑多感をアートとして表現できないかな?とずっと考えていた。それをプラスすれば「ONE OF A KIND」企画のPACK1は完成するんだけど・・・。
そんなときに僕のまえに現れたのが、maxsixのデザイナーのMIKIOさんだった。MIKIOさんはグラフィックやフォントを手書きで書くのもお手の物で、その分野をストレートに打ち出したブランド「ONE MADE」を去年立ち上げた。MIKIOさんとKATSUYUKIKODAMAとはいま様々なコラボレーションが進行中で、その一環で今回の「ONE OF A KIND」企画のPACK1に手書きのペイントを依頼した。
僕はMIKIOさんの絵だけじゃなくフォントも大好きなので、僕たちの今を生きるコンセプチュアル・メッセージを、PACK1の繭の部分に手書きでペイントしてもらった。さらに袴部に天使の羽と悪魔の羽が描かれたハートのモデルと、ハートのペンダントとイナズマのモチーフがあるぬいぐるみのベアが描かれたモデルの2点が完成。まさに80年代のグラマラス・パーティ・ロックやヘアー・メタルそのもの絵画と、彼らの最初の活躍の場であったクラブのウオールを彷彿されるペイントが加わりPACK1がデコレーションされアートになった。
完成したKATSUYUKIKODAMAの「ONE OF A KIND」。いよいよ明日3月7日(水)伊勢丹メンズB1Fにてリリースです。
【画像下】
伊勢丹メンズ限定「ONE OF A KIND」PACK1 120,000円(税別)