凄まじく変化する旅の常識

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ことしもまた1月のこの時期にパリ入りした。

2012年1月にKATSUYUKIKODAMAでパリで新作を発表するようなってから今回で13回目のシーズン。小学校の卒業文集の寄せ書きで「パリに行くぞ!」って書いていてそれがいま現実となり、しかも年2回のシーズン毎のルーティン・ワークになっているなんていつも思うけどホント夢のようだ。

2002年6月、以前に勤めていたブランドのSPRING2003コレクションでパリの合同展CASABOにブランドセールス&MDとして参加をしたのが僕自身の海外活動の始まり。パリの最先端百貨店のボン・マルシェをはじめ世界数カ国のリテーラーでの展開がスタートするも費用対効果が思ったほど得られないと会社は判断し2003年夏のNYCでの展示会をもって海外戦略は中止になるんだけど、その後独立した僕は自分のクリエイションを世界に発信したくて8年半ぶりにパリに再挑戦した。

あれからもう6年が経過。本当に猛スピードで時が過ぎ去っていく。

2002年当時はインターネットも普及し始めた頃だったんで、今みたいにホテル予約サイトが充実していなくて、まだ未完成系の怪しいホテル検索サイトで気に入ったホテルを見つけて予約を入れていた。Googleマップも当然ないので、「地球の歩き方」を買ってそれに付録している地図を本から破り取って常に持ち歩いて行動した。旅自体がたった16年前なのにまったく原始的だった。

パリに再挑戦する2012年にしたって2002年に比べるとiPhoneもみんな持つようになっていたので便利にはなっていたんだけど、通信インフラがまだまだ発展途上。日本においてもやっとこ3Gになったばかりで、パリはまだ2Gが主流で何を検索するにも通信速度がめっちゃ遅くてストレスが溜まりに溜まった。

ホテルなんて電波は弱いながらWifiは飛んではいるんだけど宿泊している全員が使うからほぼほぼ通信不可状態。当時大流行りしていたFacebookの更新もほとんど出来ずで、日本に帰ってから知り合いに「あまりに更新されなかったから何かあったのかと思ったよ」って心配されたほど。それに比べると去年あたりからパリもだいぶん通信環境も整ってきてて通信に対してストレスは解消されたけど、人間って便利になると過去には絶対戻りたくなくなるもんだよな~ってつくづく思う。

通信環境の向上とともに最近はアプリケーションも相当充実してる。仕事でもプライベートでもLINEで簡単に連絡が取れるし、LINE電話のおかげで電話代がゼロになった。商品のラインシートもアプリケーションでPDFを簡単に軽量化できるようになったし、東京のオフィスで作成されDropboxに上がったラインシートにちょっとした誤りがあっても、その画面をスクリーンショットして画面上に手書きタッチで修正を書くこともできるようになった。

で、手書きで修正を入れた画面をDropboxに上げとくかLINEやメールで本人に送っとけばパリが夜中の間に昼間の東京でラインシートが修正される。仕事が時短しまくりですべてがサクサクだ。そういえばDropboxなどのクラウド・ストレージサービスのおかげで、もはやメール自体使わなくなってきた。アップルのデバイス同士でデータ通信が簡単に出来るAirDropもなんだかんだ言って頻繁に使うし、データの共有の概念がアプリケーションの発達でここに来て大進化を遂げてる。

さらに今回からはSIMフリーのiPhoneXにしたんで、パリ現地の格安キャリア「free」のSIMを購入した。NoSeasonの担当のKENJIくんからは大手キャリアのSIMを勧められたけど、webで検索したらfreeの評判が半端じゃなかったんで独自の判断でショップへ向かった。日本でも海外からの出張者に「大手キャリア以外のSIMってどう?」って聞かれたら、使ったことがないしいい加減なコメントはできないからとりあえず大手を勧める。きっとKENJIくんも同じだなって勝手な判断のもとfreeのSIMをソフトバンクのSIMと交換した。

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freeのショップでのSIMの購入もフランス語しか表示しない不親切なATMみたいなマシンを操作してなんとなく進んでいったら思ったより簡単に入手できた。マドレーヌ寺院のそばにfreeのショップはあったんだけど、めっちゃ混んでたのは安さだけじゃなくこの簡単さが人気なのかも......なんて思った。

人生初のSIMフリー端末で格安キャリアのSIMをセッティングした感想。それはそれは快適で、海外でありがちなモバイル通信とデータローミングをオフにしてホテルやオフィスのWifi環境から外に出たらネットに繋がっていなくて超不安ってことは一切無くなった。日本ではネットに繋がっていない環境って全くないから安心しきっているけど、海外でも同じ環境下にいないと落ち着かないなんて、結局僕らは携帯に首輪を繋がれた子犬なんだよな。

あと、通信速度なんだけど、完璧な4G。サックサクで速い速い。検索したら地下鉄ではそうはいかないって話なんだけど、それほど地下鉄は利用しないから現段階ではfreeで十分かな。これで海外用モバイルWifiを借りなくて済む!

ちなみに海外用モバイルWifiはノロマな3Gモデルの10日間レンタルで1万円弱、大手キャリアの海外データローミングサービスは4G環境ながら1日2000円前後で高額。で、今回のfreeのSIMは4Gで且つ100GBまで使えて1ヶ月19.99€+SIM代金10€ = 29.99€。約4,000円で1ヶ月以内に100GBを超えても通信制限がかかるだけっていう事実上の使い放題で追加料金発生は発生しない。おまけに日本への固定電話もタダで、ヨーロッパ周遊でも25GBまで使い放題っていうオプション付き。これはもう海外用モバイルWifiや大手キャリアの海外データローミングとは完全におさらばだ。

この数年で劇的に変貌を遂げた海外出張のスタイル。これってまさに産業革命的な変化じゃないかって真面目に思う。日本にいなくても日本にいる時と全く変わらない。世界中の人がアップルやグーグルのOSを使い、ハードも共通。それによって人種や国境のボーダーがなくなった。さらにアプリケーションも進化をし続け全世界の末端のユーザーのリクエストとそれに答える開発者たちによって生活そのもののレベルが底上げされている。時代の激変の中で過ごすのってなかなかの経験だな。この潮流の凄まじい変化を心に刻んでおかないと。

おっと、慣れっこの時差ぼけで深夜に書くブログはいつもに増して長文になった。さてと、空が明るくなってきたしそろそろな寝ないと!

パリ・ファッションウィークは今日スタートです。

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