想いと志の継承〜R.I.P. 藤岡幹大さん
前にココでも書いたけど、僕はアメリカのプログレ・バンドのDREAM THEATERにこの8年近く心酔している。
1992年に発売された「Images & Words」のあまりに衝撃的な演奏テクニックに卒倒させられ、その後のアルバムでは食らいついていくのがやっと。次々に繰り出されるテクニカルで圧倒的な楽曲の連続攻撃に僕は遂に食傷気味になり「付いていくのはもう無理」状態になって一時的に彼らとは距離を置いた。
でも2010年にYouTubeで久々にDREAM THEATERの勇姿と再会。積年のLIVE映像を観ながら「やっぱすげ〜っ」ってことで復活の狼煙があがり今に至る。KATSUYUKIKODAMA のフラッグシップ・ストアでも流れるBGMはいつもDREAM THEATER。真剣勝負の音楽に包まれながらのCREATION JOURNEYな毎日をすごしている。
2年前の春、DREAM THEATERで満たされている僕の前に、彼らに勝るとも劣らないバンドが突如現れた。それはアメリカのバンドでもヨーロッパのバンドでもなく、何と日本のバンド。もともとはもっと前から活動していたらしく僕も名前は知っていたんだけど、色物のアイドルグループって勘違いして完全スルーしていた。
そのバンドとは、そう………、「BABYMETAL」。
僕が初めて彼ら(彼女ら?)と出会ったのは、2016年春。ある商談中にBABYMETALのアルバムが全英総合チャートで15位に入ったことが話題に上がった。僕は先述のとおりBABYMETALのことを色物のアイドル・グループって思っていたから、「15位って何それ?どーせ日本人チャートでしょ?」って言ったのを覚えてる。
その時の商談相手は結構なBABYMETALファンだったようで、持っていたパソコンで代表作の“ギミチョコ”のPVを流してみせてくれた。それを観て僕はびっくり仰天!SU-METALの歌唱力、YUI-METALとMOA-METALのダンス・ユニットにももちろんびっくりしたけど、バックの神バンドの圧倒的な演奏力に叩きのめされた。
曲自体もAメロ〜Bメロ〜サビ〜ギターソロ〜Bメロ〜サビの完全なメタルの曲展開で、ツインギターのハモリソロとリズム隊とのバリバリのユニゾン、スラッシュ・メタルやハードコア・メタルに通ずる完璧な高速マラソンツーバス、重厚なサビコーラスとデス声シャウト、そしてメタルの曲では欠かせない鉄板のハイトーンの歌い上げ等々、それは正統派且つ王道のザ・ヘヴィメタルだった。その凄さに愕然とさせられた僕は、初登場15位の全英のチャートが日本人チャートではなく総合チャートだってことに思いっきり納得し早速2枚のアルバムをDL、それから毎日BABYMATALを聴きまくった。
2016年春に行われた心斎橋大丸1Fの大型のポップアップの帰り、什器を大阪から東京へ持ち帰る500キロの道のり、ハイエース車内はずっとBABYMETAL!"BABYMETAL DEATH"から"THE ONE"までの2枚のアルバム全25曲をリピートしまくり、一人で運転して東京へ帰っていた僕は一緒に大合唱。大丸心斎橋でのポップアップは当時過去最高の売上だったこともあってご機嫌で歌いまくった。
BABYMETALの「METAL RESISTANCE」は、ビルボードの総合チャートでも初登場39位。あのLOUDNESSの「LIGHTNING STRIKES」でさえ64位だったのに39位ってものすごい快挙で、TOP40入りは何と坂本九以来53年ぶり。LOUDNESSだけじゃなく、渡米してアメリカ・マーケットに挑んだジャパメタ界のANTHEMやEZO、X JAPAN、歌謡界の松田聖子や宇多田ヒカルも成し得なかった快挙を見事に成し遂げた。
その後BABYMETALは積極的に欧米をツアーし、日本人で初のロンドン・ウェンブリー・アリーナでのワンマンライブは12,000人動員、その年の秋には東京ドーム2daysもソールドアウトしワールドツアーを完結させた。そして今もなおレッチリやガンズ&ローゼス、メタリカといったロックファン&メタルキッズの誰もが憧れるアーティスト達のオープニングアクトとしてツアーに同行し世界規模でムーブメントを起こしている。
僕はジムでもBABYMETALのPVに乗せてマラソンをする。1曲1曲が長いので、3曲聴きながら走れば簡単に3キロを走破する。車の中でもBABYMETALはDREAM THEATERに次ぐヘビロテ。フラッグシップ・ストアでも営業時間外は"NO RAIN, NO RAINBOW"で心を休める。BABYMETALは僕の生活に完全に根を張っている。
そんなBABYMETALの神バンドのギタリスト藤岡幹大さんが1月5日に36歳という若さで亡くなられた。趣味の天体観測中に高所から転落したらしい。藤岡さんはBABYMETALのほかに、音楽専門学校の講師や音楽誌への出筆、サイドプロジェクトの仮バンドなどで活動していた。
通常より1本弦の多い7弦ギターを奏でる藤岡さんのギターテクニックはまさにプログレッシブで、ピッキング・ハーモニクスを多用した高音の音色はバイオリンかと勘違いするほど。神バンドのもう一人のギタリスト大村孝佳さんとは音楽専門学校の講師と生徒だったという師弟関係で息も抜群に合っていた。ベースのBOHさん、ドラムの青山英樹さん・前田遊野さんも加えたユニゾンのバトルは超見応えがあった。
バックの神バンドとSU-METAL・YUI-METAL・MOA-METALのフロントアクトとのコンビネーションは年を追うごとに超完璧になってきてて、世界で数々の実績を積み上げてきてこれからまた次の高いステージへって時だっただけに、藤岡さんの急死は残念で仕方なくて声も出ない。
DREAM THEATERに没頭していた僕のまえに突如として現れたBABYMETAL。藤岡さんの想いと志を継承するためにも、これからも僕はBABYMETALを応援します。
藤岡さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。