久々のハンドキャリー

年明け1月17日からスタートするAUTUMN2018・パリ・ファッションウィークのサンプルを輸出入するのに必要なATAカルネの申請をした。

ATAカルネとは、展示会などで使用する商品やサンプルが輸出入の際に非課税になるための通関手帳で、一般社団法人の日本商事仲裁協会が発行している。展示会用サンプルは現地で売るものではないから当然非課税なんだけど、このATAカルネがなければサンプルであることが証明されないので課税の対象になる。ATAカルネがないサンプルは展示会前に輸出、展示会が終わったら再度輸入するので2度課税される。売りもしないのにフランスと日本で課税されるのってそれほど勿体無いことっなんてないから、ATAカルネの申請は海外展示会では必須事項だ。

もう何年もこの申請作業を繰り返しているから慣れっこなんだけど、慣れているだけにいつも申請がギリギリになってしまう。今回も発行が年の瀬ぎりぎりになっちゃって、じつは結構冷や汗ものだった。

今回のパリ向けサンプルは、エアーでの輸出貨物と僕がハンドキャリーする分がある。日本へは全部一緒にエアーで戻すんだけど、エアーとハンドの二つのATAカルネが必要で、申請手数料も2倍になった。いつもはもっと早くサンプルが上がっているので、全てエアーで輸出してるんだけど、今回はLABの生産スケジュールがあまりにもタイトでサンプルを製作できる隙間がなかった。渡仏ぎりぎりのサンプルUPはドキドキもんなんだけど、久々のハンドキャリーはそれはそれでなんだか新鮮だ。

まだ海外出展を始めたばかりの15年前のパリや14年前のNYCではたくさんのサンプルをハンドキャリーで持ち込んだ。KATSUYUKIKODAMAで復活した最初のパリでの展示会も、製品染めや製品洗いをしたびっしょびしょの上がりたてサンプルをそのままキャリーケースに押し込んで羽田に向かったなんてこともあった。

ATAカルネの通関手帳にサインをしてもらうカウンターを見つけるのも最初は困難だった。日本の成田や羽田はワケないんだけど、パリのシャルル・ド・ゴール空港はそうはいかない。結構地味な場所にカウンターはあるのでなかなか見つけることはできない。ファッションウィークでは同じようにATAカルネを片手にカウンターを探している人がたまにいるので、そんな人を見つければラッキー。その人について行けばカウンターに辿り着く。でもファッション・ウィーク以外の時のミラノ・マルペンサ空港はなかなか大変だった。

MARCONA3に置いてあったサンプルを回収して、出国でマルペンサ空港に早朝に着いたんだけど、やっとの思いで見つけたATAカルネにサインをしてくれるカウンターには誰もいない。誰もいないどころかシャッターが閉まっている。しかもオープン時間は朝の9時からって書いてある。おいおい、僕の飛行機は9時40分出発なんだけど!?オープンしたカウンターで速攻サインをしてもらった後、荷物を預けてイミグレを通り出国し、マルペンサ空港の中を全力疾走で駆け抜けて飛行機に飛び乗ったのを覚えてる。

イタリア人の通関職員が少しでも遅刻してたら飛行機に乗り遅れていただろう。あらかじめ通関事務所の営業時間を確認してエアーチケットを取らないとエラいことになるって痛感した。

最初の頃の欧米出張は旅慣れしてないんで、まさに珍道中の連続だった。

なんども海外出張を経験したいまは、まぁそんな珍事はなくなってきた。なくなるどころか、iPhoneの誕生によってGoogle Mapでどこにでもいけるし、たくさん荷物があってもUberでタクシー呼んで格安で移動できる。電話にしたってLINE電話のおかげで通信費が格段に減ったし、iPhone XからはSIMフリーモデルにしたので、今度のパリはプリペイドSIMに交換して格安キャリアの回線が使える。もう海外用ポケットWiFiとはおさらばだ。

15年前の初のパリ出張の頃とは何もかもが劇的に進化を続けてる。ATAカルネの申請書を見ながら、僕たちのCREATION JOURNEYも同じように成長し続けなきゃなって強く感じた。

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【画像】初めて出展したTRANOI。2012年1月。

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