「狂騒の20年代」の中心で
9月に入ってから日々のコロナ感染者数が激減してる。2回目のワクチン接種を終えた人の数も欧米と肩を並べる水準まで達したようで、ここにきてワクチン接種の効果がテキメン表れ始めた。コロナはついに収束に向かっているかもっていう希望的観測が僕たちの間でも確実に広がっていて、街中もコロナ前に戻ったかのような活況ぶり。百貨店やファッションビルにもたくさんの人が戻ってきている。「ついに」というか「やっと」というか、真っ当な商売ができる環境に戻っているこの感覚は、嬉しくもあり再び主戦場にやってきたような緊張感もあって身体の芯から武者震いが止まらない。
この週末、テレビを観ていたらイタリア・フィレンツェの駅前のライブ映像が流れていた。アメリカやイギリスをはじめとした欧米の街の風景と変わらず、フィレンツェでもマスクをしない多くの人々が駅前の広場を行き交い、サンタマリア・ノヴェラ教会周辺や街中のオープンカフェはどこも人で溢れ、コロナと共にさまざまな活動を続けるんだという人々の覚悟と決意が映像を通じて映し出されていた。
何でも真似がうまい日本なんだから、欧米のそんな姿を参考にしてどんどんコロナ規制を緩和していけばいいのに、ワイドショーでは「新たな変異株」のことや、飛沫感染とは違う空気感染の「エアロゾル感染」のこと、2回ワクチン接種してもコロナに感染する「ブレークスルー感染」のことなんかを、毎日毎日何度も垂れ流して国民をビビらせ続けるのにはもううんざりだ。
自ら痛みを伴うことをせず、海外の実証実験でほぼコロナが無くなったエビデンスを確認するまで、間違いなく我が日本にはポストコロナ時代は到来しない!とここに断言しておくよ。本当に石橋を叩きすぎっていうか、慎重すぎっていうか、日本は公共の福祉を大切にしすぎ。個人の自由を尊重する欧米が羨ましいよ。
9月から2022年春夏のウイメンズのファッションウィークがNYやヨーロッパでスタートした。パンデミックの影響により、ここ1年半は観客のいるショーの開催はほとんどがオンライン形式での発表に移行していたけど、今シーズンは多くのブランドがランウェイを復活させ、ファッション界が盛り上がろうとしている。
コレクションのキーワードとして「glamorous」や「seduction」といった妖艶さを全面に出すブランドが目立つ。「美」や「艶」を楽しみながらコロナ禍から力強く脱出していくというブランドからの強烈なメッセージが手にとるようにわかる。まさに「out of the cellar」だ。
ポストコロナ時代は「狂騒の20年代」の再来。1920年代から100年が経過した2020年代、コロナによる国家リーダーたちの政治的混乱や低迷した景気を、カルチャー主導によって飛躍的成長を成し遂げる。このカルチャーの中心がファッションであり、「美」や「艶」が人の心を牽引していく。そんな自信に満ち溢れる決意が欧米のブランドのコレクションで打ち出されている。まさに「美」と「艶」による「カルチャー」の狂騒だ。
1年半に渡って抑え込まれた世界中のファッション需要と願望を破壊的に加速させるには、ブランド側が消費者の心に火を点けるしかない。この後に及んでまだなおコロナを恐れてこの流れに乗らないなんて僕たちはそんな臆病者ではない。
8月に発表したKATSYUKIKODAMAの2022春夏コレクションのテーマは「Desirable Days」。「コロナを乗り越えて来年の夏こそ素敵な日々〜Desirable Daysを迎えたい」という願いを込めたテーマは、時代の先端をつっ走る欧米のブランドたちと同じ志だ。
KATSUYUKIKODAMAのコレクションは、これからも狂騒の中心にいることを約束します。